かってにインパクトファクター

子育てサラリーマンが日々の雑多なことをつらつらと綴ってます。時々政治ネタ経済ネタコンピュータネタなどをはさみます。

昨日は久しぶりのバス

3時間の長旅でした。

以下フィクションです。

”あぁ!もうバス来てるじゃないか”
長距離バスの場合、出発時間が限られているのに、
既にバス停にバスが来ていてちょっと焦った。
”今日は比較的すいてるな”
お腹の具合に一抹の不安を覚えながらも、
出発時間を確認していないために、
乗り込まざるを得ない。


”ゴゴゴゴゴ”
冷房とバスの騒音が交わり、耳障りな音を立ててバスが動き出す。


乗り込んで数分でバスが出発したことを考えると、
乗り込む前にトイレに行かなかったことは
この時点では正解だったと言えよう。


カバンの中から読みかけの本を出して時間を潰す。
バスが出発してから30分程経過したとき、後方から
”バタンッ”
と音がして振り向くと、女性がバスの中に設置してある
トイレから出て来るところだった。
バスに乗るときには予想していなかったが、確かに
この手のバスにはトイレはついていることが多い。
とりあえず、最悪の事態だけは回避出来る
システムが整っているのを確認して安心した。


少しすると、予想通りお腹の調子が悪くなって来た。
しかし、我慢できるのであれが我慢したい。
後2時間。
”やっぱり緊急事態になる前に行っておくか”
わたしは、ここに名を連ねる程ではないにしろ、
比較的弱い方なので、経験上耐え切れない
ことは分かっていた。


”プロは死体の処理方法を考えてから暗殺する” by コータローまかりとおる大とはばれないはず。
綿密な計画を立てて何くわぬ顔でトイレに行く。


案の定、バスのトイレは非常に狭い。
座ると前のドアにひざがつきそうだ。


いざ臨戦態勢を取って、一安心する。
もう大丈夫だろう。これで最悪の事態は免れると。
しかしなぜだ?なぜかほとんど出ない。
時間がかかれば大とばれてしまうが、それ以前に
2度目のトイレは無いと心得よ!
ここは大との疑惑を持たれても、持久戦に
持ち込むべきだろう。


5分か10分は経過しただろうか。
そろそろお腹の調子も落ち着いて来たので、
トイレから出る準備をする。
さすが節水型トイレ。ほとんど水を使わずに
一気に全てを吸い込む。
不思議な関心をしながら、洗面台に手をやると、水が出ない。


”ん?やり方が違うのか?”
いろいろいじくりまわしたり、当たりを探してみるが、
スイッチらしき物はあれど、水は全く出ない


”いやしかし?だったらあの女の人はどうしたんだ?
まさか・・・”


推測が確信へと変わって行く。
間違いない。あの女の人も手を洗っていないんだ!


”関西人でなければ、自分の事を棚にあげてまで言いふらすような
事はしないだろう。いやしかし、確率は2分の1か・・・”
”まだ大丈夫だ。座席は離れているし、目を会わせず2時間過ごすことは
物理的に可能だ。これくらいは想定内。まだ俺は負けてない!


”落ち着け。落ち着け。
バスの座席を立つときに、本はカバンにしまっている。
このまま手を洗わずとも被害は最小限に抑えられるはず。”


冷静を振る舞い、トイレを出ようとしたそのとき、
人生最大の障害が待っていた。


そう。トイレのドアが開かないのだ。
取っ手をもって押しても引いても開かない。


頭の中で最悪のシナリオがかけめぐる


[
”バスは間もなく終着します。皆様お忘れ物の無いように御気をつけください。”
”ドンドンドン”
”お客さん、バスは終着しましたよ。もうすぐ次のお客さんを乗せますんで、トイレから出てもらえませんか?”
(おいもう強引に開けちまえよ。)
”ガチャガチャ”
”何やってたんですか!返事もしないで。”
”うわ、こいつ手ぇ洗ってねー”
]


まずい
まさかこんなところにも挫折のトラップが仕掛けられていようとは。
私がトイレに長時間閉じ込められていて、
なおかつ手も洗っていないことが世間に知れ渡れば、
奴らはきっとせせら笑うに違いない。
”くそっ。敷かれたレールから降りることの出来なくなった
者の苦しみも理解できぬ愚民どもが!”


勝手な被害妄想にかられながらも、手だけはあらゆる手段を試す。


”がちゃ”


これほど苦労したにもかかわらず、開くときには
恐ろしくスムーズに開く。
しかし、いかにも引いてください風の取っ手を横にスライドさせた後に
押してやるとは・・・。


最後の難関を突破したとはいえ、まだ気を許してはいけない。
なぜか例の女の人は狸寝入りをしている。多分彼女も
なんらかのリスクを背負って生きているのだろう。なんせ私も関西人だ


試合時間は高々20分ほどだったが、おかげで時間を潰す
当ての本も読めなくなり、辛い1時間を過ごした。


ようやくバスも目的地につき、電車に乗り継ぐため
左の超巨大なパンダの剥製を横目に改札を通り抜けた。


無事トイレにたどり着き、手を流しながらほっと一息つく。
今回も私は生きながらえたと。

ときどき出かけるときとか、頭の中で
”この先あの様なことが起ころうとは、そのとき誰も
予想だにしなかった”
などと勝手にナレーションをつけたりして遊んでます。
御粗末さまでした。