かってにインパクトファクター

子育てサラリーマンが日々の雑多なことをつらつらと綴ってます。時々政治ネタ経済ネタコンピュータネタなどをはさみます。

社会主義的成長戦略ですかね?

これまでの政権と比べて安倍政権は比較的支持している方なんですが、時々変な政策を行おうという話を聞きます。


年功序列賃金 見直し機運 来春の労使交渉 :日本経済新聞

来年の春季労使交渉を巡り、年齢とともに賃金が上がる「年功序列賃金」の見直しが焦点の一つになりそうだ。デフレ脱却に向けて賃上げを重視する安倍晋三政権が、日本型の賃金・労働慣行を見直して若い世代の賃金を手厚くすべきだと問題提起したためだ。ただ年功序列は法律の決まりごとではない。長年の労使協調に風穴を開ける議論は波乱含みだ。


配偶者控除の縮小先送り…見直し16年度以降に : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

政府・与党は、専業主婦らがいる世帯の所得税と個人住民税の負担を軽くする「配偶者控除」の縮小を、今年の年末に議論する2015年度税制改正には盛り込まず、16年度以降の課題として先送りする方針を固めた。


首相「賃上げ継続を」 業績に格差、企業と思惑ズレ :日本経済新聞

政府、企業、労働組合の代表が参加する「経済の好循環実現に向けた政労使会議」が29日、再開した。安倍晋三首相は「生産性向上や収益拡大を賃金上昇や雇用拡大につなげていくことが重要だ」と語り、2年連続の賃上げを要請した。賃上げは脱デフレの鍵を握るものの、足元の景気はもたつく。収益低下に直面する企業も少なくない。政労使は脱デフレが重要との認識では一致するが、賃上げ継続を巡る思惑はズレが目立つ。

一つ目は、日立が来年度から管理職を年功序列賃金にすることも記事ではあげていますが、国として年功序列賃金を推し進めることで、中途採用が増えると期待しているんでしょうね。日立の取り組み自体は、別にいいと思うんですよ。それが吉と出るか凶と出るかは、実際のところやってみないと分からないでしょうから。
ただ、それを国が推進するというのがなじまないと思うんです。なぜかというと、国が本当にやりたいことは年功序列賃金の廃止ではないはずだからです。もし年功序列賃金を廃止することが目的なら、ただの阿呆ですよね。そうではなくて、その先に、労働力の流動性を高めようっていうのがあるはずなんですよ。ひょっとすると年功序列賃金を採用している企業の割合と労働力の流動性とかを国別に調べて統計くらいとっているかもしれません(それくらいはして欲しいところですが)。
でも、国の政策としてやりたいことって労働力の流動性アップじゃないですよね。
流動性を挙げて何かをしたいはずなんですよ。
失業率を下げたいのかというとそれはないと思います。今の失業率は、季節調整後で3.5%。
統計局ホームページ/労働力調査(基本集計) 平成26年(2014年)8月分結果
失業率が3.0%で、完全雇用とかんがえる人もいるようです。
完全雇用 - Wikipedia
いくら景気が良くても、倒産する企業もあれば、個人的な事情で退社する人もいて、その人達に次の仕事が比較的すぐ次の仕事が見つかるとしても、職探し自体に時間はかかるでしょうから、失業率3%が妥当かどうかは知りませんが、ゼロにはならんでしょう。
今の日本の失業率が3.5%で、3%までしか下がりようがないのであれば、その0.5%のために、企業に大変革を押し付けるのは考えにくいですよね。
となると、あと考えられるのは、流動性を上げると外国人を採用しやすくなって、企業のグローバリズムを推進することができるので、結果として国内の需要低迷を支えることが出来るってことに繋がることを期待しているんでしょうか?
そうだとすると、その方法は様々で、方法論については企業に任せて、国内にお金を増やした企業には何かしら税制優遇するとかそういう上位の政策の方がよほど効果があるのではないかと思います。
一時期民間の活力をとか、企業努力をとか言ってましたけど、そういう民間のちからを知恵として活用する勇気が必要です。

二つ目。配偶者控除廃止。
見送りになりましたが。
私の妻は専業主婦なので、配偶者控除があったほうが得する立場です。
この配偶者控除は、女性の社会進出を妨げているのではないかということで、廃止を提案されていたと思います。
民主党政権時代には、アホな大臣が北欧と日本を比較して、女性の社会進出が進めば出生率があがるとか主張していました。(ちょっとリンクは適切ではないですが、2009年に作成された資料と記載があります)
【コラム】少子化の原因は女性の社会進出? 越谷市公式ホームページ
一度結婚したら制度上・宗教上離婚が難しいだとか、人口規模・文化が全く違う国を比較するくらいなら、よほど昔の日本と比べたほうが説得力のあるデータが取れるはずです。
個人的には、女性が社会進出する機会は増えたほうがいいと思っていますが、国が直接後押しするのは間違えていると思っています。
ちょっとはなしがずれましたが、配偶者控除もその流れかと思っていたんですが、実は最近は言い方が少し変わっているんですね。

配偶者控除など制度見直し議論へ NHKニュース

29日に開かれた政府税制調査会の総会では、納税者の個人的事情を考慮して所得税の負担を軽減する控除制度について意見が交わされました。
この中で委員からは「人口減少社会でどう税制が対応していくのか考えないといけない」とか「働き方が多様になっているなかで制度が追いついていない」などの意見が出され、政府税調として、少子高齢化社会を踏まえて控除と納税のバランスをとるために所得税の控除制度全体の見直しを、今後議論していくことを決めました。

つまり、人口が減るんだから、税の取り方も変わっていくよねということで、女性が社会進出すれば税金が増えるよねという流れのようです。
もうね。税金を増やすために女性を社会に出そうとか、移民を増やそうとかそういう泥縄な対応から抜けだそうとか思わないんですかね。
税制を考えるんだったら、ここ数十年でもっとも資産を増やしたところから取ればいいでしょうに。
それに女性の社会進出を後押しすると、出生率はどう変わるのかもはっきりしてないですよね。
今は人口の構成が大きく変化している過渡期だから、税金の取り方もそれに合わせて変えていかないといけないことは理解できますが、その人口構成に大きく関わり、それも数十年という長いスパンに影響する出生率に影響することを、短いスパンで解決しないといけない問題を解決するために犠牲にする心境がよくわかりません。

まずはお金を一番持っているところから取る。
次に、女性が社会に出ても、出生率が影響しない、もしくは増えるような環境に持っていく。それも国の政策ではなくて、自治体の活動を推進して、ベストプラクティスを広げる。そうやって地道に活動しないと後々大やけどしますよ。

三つ目。賃上げ要請。
これ政府がやることなのかしら。賃上げして企業が死んだら意味無いじゃん。
政府が今できる最も簡単な”実質”の賃上げは消費税を下げることです。私も残念なことに手取りが3000円増えて消費税が5000円増えている(ざっくり推定ですが)ような感じで、手元に残るお金は減ってます。
政府が税金を増やすのに、民間にその分以上の賃上げをやって頂戴ねなんて、そんなの通じるんでしょうか?
将来法人税を下げるよとかいうのも変な話です。なぜなら、みんなが賃上げしているなか、自分のところだけ、給料上げないって企業だけ、法人税も減って儲かることになるからです。こういうずるい企業だけ儲かる制度にすると、結局みんなずるずると引っ張られて元の木阿弥です。
似たような事例として、新卒採用の話があります。新卒採用の時期は年々早くなっていくので、行き過ぎるたびに国として、団体にもっとあとにするように要請します。でも特に罰則はありません。そしてひとつまたひとつと早く採用する企業が増えていって、採用時期が全体として前倒しになってまた国から要請が。。。
つまり悪循環に陥るんですよね。
政府として賃上げをしてほしいと思っているんだったら、給与をあげた企業に対して税制優遇をするとかしたほうがいいんですよ。


ということで、全体として見て、最近の動きは、裏に本当のやりたいことがあるんだろうけど、それを実現するために、それに対して直接的に影響するような活動をしているように見えます。


社会主義国じゃないんだから(昔は日本は最も成功した社会主義国ッて言われてましたっけ?その頃は幼かったのでよく知りませんが)、もう少し上段から政策を推進してほしいと思う今日このごろです。