かってにインパクトファクター

子育てサラリーマンが日々の雑多なことをつらつらと綴ってます。時々政治ネタ経済ネタコンピュータネタなどをはさみます。

この金額でお客さんと合意できました

営業が嬉しそうに連絡を入れてきます。

はいはいいくらだったんですか?

「そちらから頂いた見積もり金額を30%値下げしたら取れました」

ん?よくわからない?30%見積金額をあげてもとれたんじゃないの?

「いやいや、下げたらとれました。」


え?それ誰の指示?

「いや、お客さんです。」


それ、無理だから。今回購入品もあって、その原価を下回っているから、うちがタダ働きしても赤字だよ。


「いや、もうお客さんと契約したんです。」


だから無理だって。


「そこをなんとか。」


いやいや無理ですよー。
(ガチャ)



とりあえず埒が明かないので電話を切ったんですが、念のためカレンダーを見ると、エイプリルフールではないようです。
営業からのよくわからない連絡に釈然としないなか、作成した見積もりと、積み上げた原価を眺めていると、部長から声がかかりました。


「注文取れたんだって?」

いや、とれたと言っても、提示した金額より大幅に下回っているらしいですよ。

「まあそこを頑張ってよ」

えっ?これが作成した見積もりと原価表なんですけど、下請けから提示されている金額を積み上げた金額よりお客さんに提示した金額は下回ってますよね?

「だから、そこを頑張ってよ」

なにを頑張るんですか?

「下請けの見積もりを下げればいいじゃん」



おかしい。見積もりを作成するときに、すでに今回は厳しい案件だから、ギリギリで出してくれってお願いしたとき、あんた横にいたよね?
ちょっとした殺意を覚えつつ、それでも部長の指示なので、断るわけには行かない。
しかたがないので、下請けに再度連絡して、よくわからない状況を説明。今回うちは多少の赤字覚悟で出すんで、そちらも赤字で出してください。

「そんな話通るわけねーだろ!!!」


怒られてしまいました。
しかし、今回はまだ救いがありました。関連会社から見積もりをもらっているから合わないだけで、全然関係の無い会社に見積もりを依頼すれば、勝手は悪くなりますが、金額は合いそうです。


しかたがないので、これまでのコネをフル活用して、方方連絡し、指値で見積もりをもらいます。相手も方方手をつくしてくれて、なんとか金額を合わせてくれるとのこと。


良かった。これでお馬鹿な営業が契約した内容と金額を満たせるかもしれない。

品証なども巻き込んで、見積もり説明会を開いて合意を得て、再度見積もりを営業に返します。
部長も本部長も在席している場での合意なので、これでようやくプロジェクトが開始できる。

そんな安堵の気分に浸る仲、打ち合わせ終了後に部長が話しかけてきました。


「今回、外に出したの?」

出しましたよ。関連会社とは交渉しましたが金額が合わなかったので。

「そうなんだ。ところでさぁ、やっぱり関連会社使ってくんない?うちの本部長とあそこの社長仲いいんだよね。」

だからなんなんですか?

「だから、関連会社使ってって!」

いや見積もり合わないですよ。赤字になったらどうするんですか?

「そこは君が頑張るんだよ」



一気に気力が失われ、はい。しか言えず、部長は満足したように去って行きました。

しかたが無いので関連会社に連絡をとり、見積もりをもらいつつ、あれだけ頑張ってもらった外の会社には謝罪の連絡を入れます。
「わかりましたが、もう話を持ってこないでください」

相手の気持ちに理解を示しつつ、それでも自分の大切なコネクションがひとつ失われた悲しさに浸りながら、また関連会社の見積もりを積んでいきます。


やっぱり合わないな。このまま行けば赤字になる。


部長無理ですよ。赤字です。

「だから、頑張ってって」



まあそこまで言うんだから、やむなく赤字の見積もりを営業に返します。
案の定、赤字スタート案件のため、人は投入されず、本来3人位マネジメントで必要なところが、一人で担当することに。

進捗管理では、毎回赤字をどうするんだと言われ、激務の案件に一度倒れて入院し、受注がとれたから営業は表彰され、頑張れと激励した部長は部署が移り、案件で赤字を出した自分の査定がひどいことに。。。











信じられない話ですが、酒の場で後輩がとつとつと語ります。

「そうなんだ。良かったね。うちの会社、まだまだ改善の余地があって。」

私なりに励ましたつもりなんですが、その言葉は全く彼には響かず、そこはかとなく悲しい顔をされてしまいました。