かってにインパクトファクター

子育てサラリーマンが日々の雑多なことをつらつらと綴ってます。時々政治ネタ経済ネタコンピュータネタなどをはさみます。

中教審、大学院博士課程に「短期コース」創設を提言

今日の産経新聞ではもう少し詳しく載っていたのですが・・・。
ということで、うろ覚えですが新聞の内容をまとめると

中央教育審議会は、”博士課程”の短期コースを提案した。
日本では独自の制度として論文博士(社会人等が博士課程に行かずに直接博士の学位をもらう方法。論文数10本以上など条件が”課程博士”より厳しい)の廃止については触れなかった。
博士1万人計画によって日本の大学院生の数は12万人から24万人に増えた。しかし、それでも日本は千人中1人で諸外国は3人とまだ差が大きい。
そのため、大学院博士課程の短期コースを提案した。現在は3年と決まっているが、1〜2年で取得が可能なコースを作る。しかし、粗悪な人材が量産される事も懸念されている。また企業も”プライドが高い割に視野が狭い”などの理由で博士を積極的に採用しない現状も問題である。

という感じでした。
ちょっと厳しいことを言いますと、問題の本質が分かっていないような気がします。
その前に問題と言うのは”日本は博士の数が少ない”ことに絞っておきます。
なぜ博士が少ないのか。これは博士になるのが大変(なれないリスクも大きい)だと言うものありますが、せっかく博士になっても就職がままならないということもあります。
そして就職できない理由は企業がとってくれないからにつきます。博士1万人計画以前と比べて公的な研究所も枠はほとんど増えてませんが、諸外国と比較するなら企業の採用数の少なさに問題があると言えます。
そして、博士が余っている現状で企業が博士を採用しない理由は

  • 初任給が”若干”高いため即戦力を求めるが、そういう人材は少なそう
  • 人づき合いが苦手そう
  • プライドが高そう

という感じです。実際そういう人もいます。

博士を欲しがる企業は

  • 先端技術(知識)を知っている
  • 自分で問題を見付けて解決できる
  • 人をまとめて研究などを進めることが出来る
  • 相手企業が博士を出しているなど知識層として(外国企業)

という部分で博士を買っています。


ぶっちゃけ今の博士は玉石混淆です。博士だけじゃないと思いますけどね。
その中で、人づき合いが出来そうかどうかは面接で分かりますが、知識や指導力を面接で的確に計って行くのは大変です。その上、玉の割合が低いのなら割に合わない事になります。


この状態で博士課程の短期コースを作ろうものなら、企業から見た博士の価値って何?ってことになります。しかし、おそらく博士の採用は増えると思います。なぜなら
博士の質が全体として落ちる=>博士の初任給を安くしても良いという風潮ができる=>修士と同じ感覚で採用できる
と流れると予想するからです。
今でも博士課程の人間で企業(研究所以外)に行きたい人は、”最悪修士扱いでもいいかな”という雰囲気もあります。個人的にはここは妥協してはいけないと思うんですけど。


博士が少ないのは需要が少ないからです。だからこそ博士の需要を増やすべく取り組むことが大学院の学生を増やすことにつながります。
具体的には

  • 論文博士をやめる(学生個人として博士になりたい人は企業に行ってからでいいやと考えてしまう。現在3割程度の博士が論文博士)
  • 学費、生活費、学会等の旅費を担当の先生から給与するという形にして学生を”雇い”、研究に対する動機を強化する。また先生が学生を使う名分を作る。ただし事務雑務をさせてはいけない(もしくは別給与)。研究で使用するPCやソフトは希望者全てに支給する。
  • 企業が欲する即戦力を育てるため、企業と共同で学生の指導にあたる
  • 博士課程が、就職活動からの逃げの選択肢にならないように早い段階で就職説明等で実感を持たせる
  • 教授による推薦を前面禁止にする。また途中での講座の移動をしやすくする。(中に入ってみないと教授の人間性が分かりにくく、また非常に困った人が存在するため)
  • 上記全てを満たした上で、大学も含めた9年間もしくは高校も含めた12年間を短縮できる制度を作る

でしょうか。
日本は科学技術に関して他の国より大きな予算を割いていますが、結局は権力の強い先生がたくさんとって行ってしまいます(主観です)。少なくてもいいから若い先生に広く予算を配分し、その一部を学生に流すようにすることで、研究の効率ははるかに良くなると思います。そうすれば、予算が余ったからと言って使えもしないマックに大画面の液晶なんか買ってんじゃねーなんて文句を言われることも減りそうです。