宝くじあたったよ
二人の子どもとお風呂に入ってワイワイ遊んでいた時のことです。
我が家では、これまで聞いたことのなかったフレーズが聞こえてきました。
ちょうど湯船から出て、子供の体を洗っていたのですが、振り向くとそこには風呂のドアの隙間から顔をだすうちの奥さん。
マジであったったの?
「あたったよ」
人がお風呂に入っていて、それも子供を洗っている最中に、ドアを開けると極寒のような隙間風が風呂場に充満する。そんな苦境を押し付けてまで伝えたかった、当せんの事実。
これは期待するしかありません。
私は、自分の期待と裏腹に、冷静を装って奥さんに聞いてみました。
いくら当たったの?
「いくらだと思う?」
まさかの質問返し。
こいつどこまで期待を持ち上げるんだ。そんなことを心に思いながらも、しかしこの手の質問返しに答えるのは、これまでの経験上危険なことが多かったので、もう一度聞いてみることにしました。
わからん。いくら当たったの?
「えーーーっとねぇ」
まだ引き伸ばすのか。こっちは寒いんだよ。もう、金額より、子供も私もお風呂場で凍えだしていることの方が気になりだし、ついつい語気を強めてしまいます。
だからいくらなの?
「二千円」
えっ?
「二千円あたったよ!」
。。。。
。。。。
いくら掛けたの?
「聞く?」
聞く
「二千円」
早く扉閉めて
持ち上げられた期待の行く場が突然消えてしまい、風呂場には寒さだけが残りました。