かってにインパクトファクター

子育てサラリーマンが日々の雑多なことをつらつらと綴ってます。時々政治ネタ経済ネタコンピュータネタなどをはさみます。

販売と開発、どちらに金をつぎこむべきか

ここでは、商品を世に送り出す課程を3段階に分けて考えてみる。

  • 基礎研究(基礎物理は大学。ここではそれを商品技術に繋げる部分を指す)
  • 商品開発(基礎技術と他の技術をあわせて市場に受け入れられる商品を開発。製造ラインも含む)
  • 営業、販売(出来上がった商品を販売する。市場を拡大する。コマーシャルなど商品の無形的付加価値をつける)

自分が企業を起こすとして、まず基礎的な物理から分かっていないような技術を用いた製品を作ろうとする人はまずいないだろう。それはなぜか?出来るかどうか分からないというリスクがあまりに高すぎるから。物理や基礎技術がある状態での商品開発であればまだリスクは小さい。
なぜ基礎研究はリスクが高いのか。それは結果がでるまでに時間を必要とするから。ある程度分かっている技術でも、自社製品として使うには特性を調べる(動作保証が出来る環境を調べるなど)のに時間がかかる。
要するに、上記の3つは、”お金を投資してからリターンまでの時間が大きく異る”という事が有る。既に商売をはじめていれば、基礎研究や商品開発も出来るだろうけど、しょっぱなからは無理と言う意味です。
さらに、投資資金がどれくらい必要なのかと言うこともあげられます。
基礎研究に必要な装置はン千万(例外はありますが)。長い年月の人件費や研究のための素材の費用、装置の設置場所などもあります。
商品開発に関しても、実は結構かかったりします。基礎技術が確立していても、それを使って他の技術と会わせてどのように働くのか、商品として問題が無いかを調べたり、またいざ大量に作るとなったときにはラインを整えないといけないので、ここにも大きなお金が必要です。
偏見かもしれませんが、営業にかかる費用の多くは人件費のような感じもします。
まとめると、

分類 投資資金 資金回収期間 リスク
基礎研究 数億〜数百億 数年〜数十年
商品開発 数千万〜数千億 数ヵ月〜数年
営業、販売 数十万〜数億 1ヵ月〜1年

※あくまで相対的な話であり、個人的な偏見が多々含まれます。また営業に関しては、決算が1年単位であり、個人的な成績は1ヵ月で出せ、方向の見直しもたやすいということからこの様にしました。

こうなると、企業としては既に有る商品に関しては、売上を延ばすために営業に力をいれ、必然的に営業、販売の人件費に投資が向くことになります。
もう一つ問題が有ります。
例えば今のパソコンには徐々に減る傾向に有りますが、”コンデンサ*1”と呼ばれる素子が有ります。このコンデンサが無いと困ってしまう物と言うのは実は結構あります。今でも大容量のコンデンサ半導体では作れません。では、このコンデンサを発明した人、改良した人はお金をもらっているのでしょうか?もらってませんよね。
発明しても権利が10年で消滅するのであれば、10年で投資資金を回収しなければならず、だからと言って研究者の人件費を10年間で払うと考えると、リスクもあってたくさん給料を払えないんじゃないでしょうか?
今、過去最高益をたたき出している日本企業が多いですが、その利益は権利が消滅した基礎技術も含んでいます。
日本には資源が多く有りません。海外から輸入した原材料に付加価値をつけるのも、少ない資源を有効に利用するのも高い技術が必要になります。その技術を持った人達が、誇りを保ちつつ、昔のように10年修行して一人前と言ってひたむきに研究に勤(いそ)しめるそんな社会になったら嬉しいです。
そのためには、特許も基礎技術に関しては有効期限を複数選択できるなど、せっかく開発した商品の投資資金を回収できる年月を増やしたり(独占という弊害も有りますので、同時に対策も必要)、技術的な影響による売り上げの上昇(調査が必要でめんどくさいけど)や技術開発によるコストの削減を貯めて、安定的に技術者の給料として分配すると言う感じにすると日本的で良いのでは?と思います。
個人的な話になりますが、日本が景気が悪くてとか、一時的な流行で売上が落ちてなどの数年単位の影響を技術者が大きく受けるのは、”職人”らしく有りません。儲かったときには資産をため、儲からなかったときに崩してゆくことで数十年単位まで給料の変動を抑えて行けば”職人堅気”も維持できるのではと思います。
全部が全部職人になってもやりにくいでしょうが、一部復活には多く賛成して頂けるのではと思っとります。
ちなみに、私は物の基礎研究でも商品開発でもなく、サービスやマーケティングの基礎研究や商品開発の道に進みますので、自分の給料を増やして欲しいから主張しているわけではないと言う事を最後に女々しく付け加えておきます。

*1:電気を一時的に貯める素子。種類も色々ある。高電圧、大容量な物は今でもヨーロッパが強かったりする。